本研究では、測定時間の大幅な短縮をはかりかつ分光強度パターンと蛍光寿命パターンを同時測定するため光源変調と光電検出器利得変調方式を併用した検出器内部ヘテロダイン検出装置の試作を行い、装置の動作確認と基本性能の測定を行うとともに、時間分解および位相分解蛍光分光画像から、二次元試料中の蛍光化学種の濃度分布の演算を目的とした強度比マトリックス分析法(Ratio Method、RM法)を考案した。 まず、イ)撮像型光電検出器、ロ)レーザ、ハ)AO変調器、ニ)変調用水晶発信器、ホ)タイミング回路、ヘ)電子シャッター付CCDカメラ、ト)パソコンからなる装置の試作を行った。レーザとしてはアルゴイオンレーザを用い、AO変調器により正弦波変調を行い、蛍光試料を変調励起する。この変調信号とわずかに異なる変調信号で光電検出器の利得変調を行った。この結果光電検出器からは差周波数で変調された蛍光画像信号が出力される。この蛍光画像信号はパソコンに取り込まれる。 パソコンに取り込まれた時間分解および位相分解蛍光分光画像から、二次元試料中の蛍光化学種の濃度分布の演算を目的とした強度比マトリックス分析法(Ratio Method、RM法)を考案した。 二次元分布をもった蛍光試料にRM法を応用するにあたっては、化学種の空間的な分布を一定のまま保ち、かつ濃度分布の異なった数多くの試料を用意しなければならない。これは現実には不可能である。この問題を解決し、実際の一個の試料のみで上記条件を満たし、強度の異なるセットを生成するため、ヘテロダイン検出における位相の遅れまたは時間的な位相(ゲート法)による蛍光信号強度の変化を利用する方式を考案した。 アクリジンオレンジ等標準蛍光試料により、上記計測システムの時間分解として1ns以下が得られた。
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