KNbO3内における、半導体レーザ光の第一種位相整合による第二高調波発生(SHG)について実験及び計算を行い次の知見を得た。 (A)半導体レーザ光における非点収差の位相整合への影響 1.集束レンズにより結晶内に形成される基本波は、楕円型ガウス光となる。伝搬マトリクッス法により結晶内の非点収差の表現を得た。この表現から最適な位相整合は従来の条件と異なり、集束ビーム径依存性があることが分かった。 2.平面波に対して結晶内のX軸伝搬で位相整合条件が満たされるとき、楕円型ガウス光に対する整合波長は、長波長側にシフトとする。この場合、X-Y面内で同調角度は存在しない。 (B)温度同調による位相整合 1.集束ビーム径100μmに対して、実験に使用した半導体レーザ(鳥取三洋、SDL7033室温、867nm)の温度を12.5℃に冷却すると、電流値130mAにおいて出力50mW、発振波長863.5nmとなる。このとき結晶の温度を38.6℃に保つと位相整合条件が満たされることが分かった。 2.KNbO3結晶は50℃以上で分極ドメインを発生し易く、これを抑えるために40℃以下が望ましい。実験では、ペルチェ素子にPID制御を施すこにより38.6±0.02℃の精度で実現でき、これによりSHGの実験を試みた。 3.弱いながらも青色SHG光が確認された。レーザ描画装置の光源として用いる場合、半導体レーザ光自体のパワーアップ、収差補正、キャビテイのよる光共振器を付加する必要があることが痛感された。
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