光パラメトリック発振器(OPO)を光源として、レーザー光のスペクトル幅を利用したヘテロダイン吸収分光技術を開発することを目的として以下の研究を実施した。 まず、パルス波形のフーリエ変換によって決まるようなスペクトルを持つ単一モードパルスレーザーを用いたヘテロダイン吸収分光測定について理論的な考察を行った。 次に予備的な実験として、単一モードのHe-Neレーザー(633nm)をEO変調器で切り出したパルスを用いたヘテロダイン検出実験を行った。He-Neレーザーの一部をAO変調器で80MHzシフトしたものをローカル光とした。パルス光は数十nsのパルス幅として、数十MHzの帯域でスペクトル測定を行った。吸収を持つ試料として光路差約8mのマイケルソン干渉計を構成してその周期的なスペクトル構造を測定した。 次に、YAGレーザー励起のOPOからの約780nmの信号光のヘテロダイン検波を試みた。OPOはKTPを用い、回折格子を用いた共振器構造を持つ。インジェクションシーディングしたNd:YAGレーザーの第二高調波で励起し、ファブリペロエタロンを用いてOPOの単一モード動作を確認した。パルス幅は数nsである。一方、ローカル光には外部共振器型の半導体レーザーを用いた。検出器には2GHzのPINフォトダイオードを用い、2GHzサンプリング(帯域500MHz)のディジタルオシロスコープによりビ-ト波形を記録した。ローカル光の波長を変化させてビ-ト信号波形を観察した。
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