研究課題/領域番号 |
06650081
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
片桐 一宗 岩手大学, 工学部, 教授 (90029893)
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研究分担者 |
申 亨燮 岩手大学, 工学部, 講師 (20240658)
佐藤 正 岩手大学, 工学部, 助教授 (30003859)
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キーワード | 金属間化合物粒子 / 疲労強度 / アルミニウム合金 / ダイカスト / 中高温 / 体積分率 / 空洞 / 析出物 |
研究概要 |
強化粒子として金属間化合物NiAl、Ni_3Alおよび比較のためSiC粒子を加えたAl合金ダイカスト試験片について、室温から300℃までの疲労試験および破壊機構に関する微視的観察から得られた結果は以下のとうりである。 1.室温ではそれぞれの粒子強化によって疲労限度の上昇がみられ、温度上昇とともにマトリックス(AlNiMgMn)材およびSiC粒子材の疲労限度は低下するが、NiAl粒子強化材では200℃まで、Ni_3Al粒子の場合は300℃まで強化作用が顕著である。10vol%までの粒子体積分率の変化により、SiC粒子強化材ではその影響がみられなかったが、全温度域にわたりNiAlおよびNi_3Al粒子材では体積率の増加にともない、疲労限度の上昇がみられた。 2.表面観察からき裂は必ずしも粒子-マトリックス界面を経路として進展しないことが判明した。破面観察からき裂発生起点はいずれの材料でも表面近傍の鋳造時の空洞であることが示された。また、疲労破面上にNiAlおよびNi_3Al粒子とマトリックスとの剥離は顕著にみられなかった。 3.100μm程度のき裂発生時期はNi_3Al材では寿命の30%程度の繰り返し応力で生じ、その後の進展が抑制されているのに対して、NiAl材では50%程度となり発生が抑制されていることが明らかになった。以上のような疲労き裂の進展挙動と関連した強度特性は、次に述べる析出粒子および粒子-マトリックス界面の生成物と大きく関係しているものと考えられる。 4.EDXを装備したSEMによるNiAlおよびNi_3Al強化材のマトリックスおよび粒子界面の元素分布の測定から、マトリックス中には針状のAl_3Ni析出物が、また界面には塊状のAl_3Ni_2またはAl_3Niの中間相金属間化合物の生成が認められ、特に後者で、また体積率の大きいほどそれらの生成が顕著なことが判明した。
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