研究概要 |
レーザー顕微鏡を用いて破面等の凹凸の激しい面の高さ画像を得ようとする場合,場所によって高さを間違って検出し,それがノイズとなって,その後の高さ画像をもとにした表面粗さの解析や表面積の計測精度に大きく影響を与える。そのため,本研究では,まず,レーザー顕微鏡による破面の高さ画像の誤検出の改善を目的として,黒鉛と基地組織の2相複合組織をもつオーステンパ処理球状黒鉛鋳鉄の疲労破面を対象として,Z軸方向に一定間隔毎に画像サンプリングを行い,得られる多数の画像からz軸方向の濃度変化の特徴を調べ,そのようなノイズが生ずる原因を明らかにした。そして、高さを間違って検出している領域の画像的特徴に基ずいて,高さ画像を効率的に改善する方法を検討した。その結果,z軸方向の濃度変化のパターンは計測箇所により3種類に分類できること,また,それらの特徴を考慮した高さ画像の改善方法を提案し,一連のz軸方向の多数の画像から3次元画像を構築し,背景部を含む計測不能領域を極めて明確に分離できることが分かった。 つぎに,C/Cコンポジット(炭素繊維強化炭素複合材料)を用いて,高温における酸化劣化及び強度特性を得るために,PY(プリフォームドヤーン)法により作成された,炭素含有率40%の直交積層板C/Cコンポジット試験片を用いて,500〜800℃範囲で,酸化劣化試験を行い,酸化による重量減少率を測定した。さらに,酸化による重量減少率を一定にした試験片を用いて,4点曲げ試験を行った。その結果,酸化劣化速度(重量減少率変化速度)は,650℃までは温度保持時間に比例して上昇するが,その温度を越えると酸化劣化速度はほぼ一定となった。また,酸化状況は,マトリックスが炭素繊維よりも先に劣化することが分かった。そして,曲げ試験結果によると,保持温度が高温になるほど,表面部の酸化劣化が激しくなり表面部の欠陥の影響で,曲げ強度減少が大きくなり,それらの破壊形態は,層間剥離が主な原因であることが分かった。 以上により,今後はレーザー顕微鏡による画像解析手法をC/Cコンポジットの酸化劣化表面及び破面性状の解析に用い検討する予定である。
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