研究概要 |
上記課題に対して,本年度において下記の成果を得た. 1.引き糸直径,破壊荷重,剛性とクモ体長等の生物学的基礎関係を示した. 2.クモ引き糸の構造を調べるため,糸表面,イオンエッチングした糸,糸の裂けた部分の観察を走査電子顕微鏡で行い,糸の断面形状,結晶化度,微細構造についての基礎知識を得た. 3.各種熱分析,動的粘弾性特性を調べ,クモ糸が約200℃まで安定な繊維であることを示した. 4.機械的性質を調べ,クモ糸は高い圧縮および引張強さ,大破壊ひずみを持ち,アラミド繊維に匹敵するまたはそれ以上のスパー繊維であり,未来材料として期待できることを示した. 5.紫外線,酸性雨の影響を実験室的に調べ,現状の酸性雨程度ではクモ円網を劣化させないこと,紫外線によって劣化が進行することおよび紫外線酸性雨が同時に作用すると劣化が促進される可能性があることを示し,その結果クモ棲息地の環境評価に応用できる可能性があることを述べた.
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