研究概要 |
はりの単純塑性曲げ理論に基づく動的応力-ひずみ関係の測定法の確立を図り,計装化シャルピー衝撃試験法を利用した応力-ひずみ測定システムの構築することをを目的として基礎的な実験を行った. まず,静的3点曲げによる応力-ひずみ関係を主として軟鋼材について求め,これを一軸引張りの結果と比較し,曲げによる結果がわずかに高強度側に測定されるが,支持台と試験片間の摩擦を軽減すれば両者の差が小さくなることを示し,静荷重下における本法の実用上の妥当性を明らかにした.次に,計装化シャルピー試験法により見かけの荷重を衝撃応答関数を用いた逆たたみこみ積分法によって真値と推定される衝撃荷重に換算し,この荷重が静的に作用するものとして応力-ひずみ関係を求めた.同程度のひずみ速度下における圧縮の場合と比較すれば,曲げによる測定結果は,多少の波打ちが見られるが,軟鋼材についてはほぼ両者が一致し,本法が有効であることが認識された.しかし,黄銅材については波打ちが大きく,必ずしも良好な結果を得るに至っていない. 本法を実用化するために,さらに,断面寸法,スパン,材質などの条件を広範囲に変えた検討を行う必要がある.これらの条件によっては衝撃曲げモーメントの評価に大きな誤差が含まれることも考えられる.また,本法ではひずみはひずみゲージによる直接測定であるため5〜6%程度に限定されること,測定断面の衝撃曲げモーメントを簡便に精度よく評価し得る試験条件が明らかにされていないことなどの問題点はあるが,特に後者については次年度の課題にしたい。
|