研究概要 |
平成7年度は本研究の最終年度であり,平成6年度に製作したX線用信号処理装置とX線応力装置を用いて変動負荷状況下での実働応力時系列測定および本システムの動的使用時の性能評価を行ない研究成果の取りまとめとして報告書を作成することが主要な計画であった. 高速応力測定を実現するには単一入射法およびイメージセンサの直列接続法および信号処理方法の技術確立が重要であり,本年度の計画ではX線イメージセンサを単一入射法X線イメージセンサの直列接続方法には困難さを伴い,またX線検出の動的特性がさほど良好でないことが明らかとなり,当初の計画を若干変更して研究を遂行した. 具体的には,動的X線応力測定に検出器の直列接続が有効であるかどうかという観点からPSPCを直列接続して回転曲げ疲労試験中のX線応力測定を行った.単一入射法応力測定装置はPSPCおよびX線イメージセンサー両方に対応可能なように新たに設計した.そして荷重計を装着した片持ち回転曲げ疲労試験機を用いて疲労繰返数増加に伴う最大負荷応力時の実応力変化の観察に成功し,実応力は応力振幅に関係なく漸減するという新たな知見を得た.またき裂発生後の実応力はき裂面での応力開放により大きく減少し破断に至ることが明らかとなった.さらにこのような高速の応力測定には検出器の直列接続法が極めて有効であることが確認できた.現在市販されているX線イメージセンサーの直列接続方法が解決されさらに動的な検出応答が改善されれば,その際検出器の直列接続と単一入射法の組み合わせが高速応力測定に有効であり,X線応力測定の新たな適用分野の拡大となり,今後の材料強度研究に大きく貢献するものと考える.
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