研究概要 |
平成6年の研究実績および進捗状況は,以下に示す通りである。 ◎金属間化合物TiAlを用いて,各種予備試験(室温疲労き裂進展試験・中高温疲労き裂進展試験・応力腐食割れ試験・3次元破面解析)を行い,以下に示す知見を得た。 (1)TiAlの室温における疲労挙動は,金属疲労と応力腐食割れの相互作用によりもたらされる。そのため,き裂進展挙動は,通常の金属材料とセラミックス材料の中間的な特性を示す。 (2)室温における疲労き裂の成長経路は,微視組織の影響を受ける。特にラメラ組織を有する材料では,その傾向が著しい。また,破面の粗さも大きく,き裂開閉口は,破面粗さ誘起型である。 (3)中高温(400℃〜600℃)域では延性も多少現れるため,疲労き裂進展挙動も一般的な金属材料の挙動に近くなる。また,延性が回復した証拠になる『ストライエーション』模様が,破面で観察された。 (4)TiAlは,室温大気中でも応力腐食割れを起こす。水中ではこの現象がさらに加速される。応力腐食割れは,主にγ-TiAl結晶粒の内部で生じる。 『改良型その場観察システム』用の小型横置電気油圧サーボ試験機(下図参照)の設計を完了し,製作にとりかかった。 ◎予備試験結果を踏まえ,『改良型その場観察システム』を用いて行う,TiAlの微視破壊挙動の観察すべき主たる項目を以下のように決めた。 (1)TiAlは室温での延性が乏しい。そのため、TiAl構造物の安全性を考える上で,長いき裂の挙動ではなく,微小き裂の発生・成長挙動を詳細に観察する。 (2)上記微小き裂の挙動と,TiAlの微視組織(ラメラ組織,γ-TiAl組織)との関連を観察し,強度向上に適した微視構造の指標を模索する。15EA11:(3)微小き裂の成長挙動を支配する力学パラメータを検討する上で必要な,き裂開閉口挙動も測定する。
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