繊維強化アルミニウム系複合材料を代表して、太径連続繊維を用いた複合材料としてSiC_<CVD>繊維強化6061Alを、また細径連続繊維を用いた複合材料としてAl_2O_3繊維強化Al-5%Cuおよび母材の異なるAl_2O_3繊維強化純Alの各先端複合材料を供試材とし、これら複合材料に種々の熱履歴を与えて複合材料の温室における母材熱残留応力状態をX線3軸解析すると共に複合材料の温室からの加熱・冷却過程における熱残留応力変化をX線高温その場測定することによって繊維強化アルミニウム系複合材料の熱機械的特性と残留応力との関係を検討した。 上記3種の複合材料におけるX線3軸応力解析によって6個のすべての応力成分が分離できた。分離された繊維軸方向の熱残留応力σ_<11>、繊維軸横方向の熱残留応力σ_<22>および表面法線方向の熱残留応力σ_<33>は各主応力であり、σ_<11>は絶対値最大の主応力である。太い繊維の複合材料では本実験の回折条件において自由表面の効果が大きくσ_<33>≒0であり平面応力状態に近い応力がX線的に測定される。一方、細い繊維の複合材料では3軸性の高い結果が得られ、熱応力状態を詳細に調査するためにはX線の侵入深さを考慮した3軸解析が必要である。 母材熱残留応力は母材材質および複合材料の熱履歴によって大きく変化し、この熱残留応力変化に直接関係して複合材料の巨視的寸法が変化する。複合材料の高温までの熱履歴過程で、母材は塑性変形し、母材の熱応力および複合材料の熱膨張・収縮曲線はヒステリシスを示す。熱応力は複合材料の熱膨張挙動を決定する重要な因子であり、繊維が弾性的挙動をする場合、複合材料の熱膨張は一次近似として繊維が単独で存在する場合の熱膨張に熱応力に対応する繊維の弾性ひずみを加算した形式で良く記述できることを実証した。
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