研究概要 |
本研究では,異機種の知能化機器で構成された加工セルを対象として,セル内での協調作業の分析を行うとともに,協調制御を実現するために知識獲得方法の確立および学習機能の付与を試みる.また,自律分散型に適したセルおよび機器レベルの管理・制御方法を開発し,セルコントローラと組み合わせて実用システムを構築し,その運用時における評価を実施する.具体的には,加工機,ロボット,および周辺装置で構成された加工セルを試作し,これを用いて実用的な協調制御と知識獲得による自己学習の実現を目的としている. 本研究課題の目的を達成するために,自律分散型加工セルの協調制御について概念を明確にすることがまず第一に必要であり,本年度は下記の課題について研究を実施した. (1)協調作業の分析と協調制御の概念の確立: 知能化機器として具備すべき機能を検討するとともに,人間の協調作業を分析し,活動様式のモデル化を行った.協調作業で利用される情報の解明とその通信手段の具体化を試み,機器間インターフェイスの役割を検討した.協調作業の分類とそれに対応したマクロ命令を設計し,新たな知見が得られた. (2)協調制御に関する知識獲得過程の分析と自己学習機能の検討: 個々の知能化レベルにより具体的な協調動作は異なり,事前に獲得した知識レベルの状態が重要な因子となる.そこで,知識工学や心理学など幅広い分野の成果を集め,知識獲得と自己学習の過程を分析し,有限オートマトンモデルを作成し,協調作業の評価は上位システムで判定すべき部分があるので,セルレベルでの知識表現の具体化を試みた. 以上の研究を総合し,加工機,ロボット,周辺装置で構成された協調制御加工セルの設計・製作を行い,実用上の問題点についても検討を開始した段階である.なお,本年度の研究で得られた成果の一部は次頁に示すように学会において発表する予定である.
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