研究概要 |
航空機部品等に多用されているハニカム形状部品をエンドミルにより高精度かつ高能率に加工することを目的として,薄壁を両側からサンドイッチ状態で加工するための平行2軸回転装置および工具の試作を行い,それらを用いてまず直線加工により基礎的な実験を行った.得られた結果は次の通りである. (1)通常の1軸加工用主軸に取り付け可能で,平行2軸回転を実現できる装置および同装置に取り付ける,ねじれ角が等しくて右刃と左刃で1組のエンドミルを設計および試作した. (2)側面加工を例に,通常の1軸回転工具における切削機構を幾何学的に明らかにするとともに,平行2軸工具による切削の原理および切削機能の特徴を示した.また薄壁を高精度・高能率に加工する上で,後者の方法が有利であることを示した. (3)平行2軸回転工具による加工精度を,同装置による1軸使用時の値と比較すると,上向き切削および下向き切削ともに切削力による工作物の変形がなくなり,前者の加工精度が高い. (4)通常の1軸回転工具による加工精度と比較すると,加工面に直角なy分力が大きい下向き切削においては,平行2軸回転工具による値が小さい.しかし,y分力が小さい上向き切削においては,装置の剛性に差があるため後者の値が大きくなった. (5)平行2軸回転工具の場合,切削力のxおよびz分力は1軸回転工具の約2倍となり,y分力はほぼ相殺されている.
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