研究概要 |
平成6年度の研究計画においては,外周刃ブレ-ドを用いたスライシング加工において工作物を切断方向と同方向に振動を付加させた場合の切断特性を明らかにすることと,垂直方向に工作物を振動させる加振装置の試作を行う予定としていた.本年度の研究成果により切断方向と同方向に工作物を加振させた時の切断抵抗,加工精度,工具寿命等に関して実験的検討を終了し,次に述べることがらが明らかとなった. 1.振動数,振幅共に増加させると切断荷重は徐々に減少していき,最大無振動切断加工時の1/3程度まで減少する. 2.振動切断で偏摩耗ブレ-ドを用いると正常ブレ-ドの無振動切断時の荷重と同程度まで切断抵抗を減少させることが可能となる. 3.振動切断では断続切断であるために,振動1サイクル中の分離現象により加工液の切断部への進入が促進され,再び工作物と接触するときに切り屑の排除を促進させる効果により目詰まりを生じにくい. 4.無振動加工によって目詰まりした外周刃ブレ-ドを用いて振動切断加工を行うと,加工開始5回程度で正常外周刃ブレ-ド用いた振動切断加工時の荷重まで回復させることができる. 5.振動数が増加すると,外周刃ブレ-ドの摩耗は半径方向には接触時の衝撃力が作用するために無振動加工事より若干増加し,刃厚方向の摩耗は工作物と一部分離する現象を生じることによる切断軌道の自己修正効果により無振動加工時に比して減少する傾向を示した.また,ブレ-ド自体の摩耗体積で評価すると振動数の増加とともに外周刃ブレ-ドは摩耗し難くなる. 6.振動切断では切断代は若干増大するが,切断面のうねり,チッピングは減少することを確認した. 7.垂直方向に振動する加振器を作製する方は現在部品加工・組み付け中であり,完成は次年度4月末頃までかかるものと考えられる. これらの成果は来年度の学会にて順次公表する予定です.
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