研究概要 |
超高速ビトリファイド研削砥石を開発する場合,その幾何学的構造を最適に設計することが必要不可欠である.ところが,ビトリファイド砥石の構造は複雑かつ無秩序な様相を呈し,ユークリッド図形として表現することが極めて困難である,そのため現状では,砥石を試作し,その構造をSEM写真によって観察する試行錯誤の過程を経て,構造は決められている.このような著しく非能率的な状況を改善するために,砥石の構造モデリングの手法を確立することが強く要請されている.そこで,砥石の幾何学的構造をモデル表現するツールを開発し,それを用いた構造設計システムを構築することを,本研究の目的とした. まず,砥石構造の幾何学的特徴を把握するために,フラクタル解析を行い,目なおし過程や研削過程の砥粒,結合剤の脆性破壊により形成される砥石作用面の切れ刃形状の不規則性や複雑性,あるいは切れ刃分布の非一様性がフラクタルであることを確知した.また,このような砥石特有の幾何学的特徴が,砥石の構成要素や目なおし条件などの力学系に支配されて必然的に形成されることを,Group Method of Data Handling解析によって明確にした. これらの知見を基礎に,砥石作用面の幾何学的構造を非整数ブラウン運動を基本にするフラクタル図形生成法によって描くことを検討した.その結果,フラクタル図形の生成変数を適切に選択することにより,砥石の幾何学的構造に酷似するフラクタル図形の得られることを認めた. 以上の成果を基に,フラクタル図形生成法を砥石作用面の幾何学的構造のモデリング法として採用する,計算機援用構造設計システムを構築し,超高速研削砥石を開発できる段階に到達した.
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