研究概要 |
筆者は、過去に、ツル-イング後のダイヤモンドホイールに水と研磨剤の混合したスラリーを低圧力の圧縮空気で噴射するブラストドレッシング法を考案して試験・研究を行った結果、仕上げ面粗さが向上し、研削抵抗、研削比等いずれの研削性能も向上することが明らかとなった。 本研究においては、単石ドレッサあるいは多石ドレッサでツル-イング後のWA砥石車(WA46H7V75R)に合成樹脂粒子を研磨剤としたブラストドレッシングを極短時間適用する「ブラストコンディショニング」を新たに考案した。砥石車作業面の微小観察と砥粒切れ刃分布を評価した後に、焼入れ鋼(S45C, Hv753)の平面ステップ研削試験を実施した。研削体積の増加に伴う仕上げ面粗さ、研削抵抗、研削動力の推移と切れ刃状態の変化を観察して、ブラストコンディショニングの効果について検討・考察した。得られた研究成果は以下の通りである。 (1)多石ドレッサでツル-イング後、ブラストコンディショニングを適用するとWA砥粒が微小破砕して砥石車作業面は理想的な砥粒切れ刃分布となる。 (2)研削試験結果は、ブラストコンディショニングを適用した理想的な切れ刃分布の方が仕上げ面粗さが悪くなるという、研削理論と反する結果となった。 (3)(2)の原因は、ブラストコンディショニングにより砥粒切れ刃が調整されると同時に、結合剤の一部が除去されて、砥粒保持力が低下したためと考えられる。 今後は、今回試験した結合度Hより結合力の強いWA砥石車(結合度I, J, K)にブラストコンディショニングを適用して、仕上げ面粗さが向上することを確認する予定である。
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