研究概要 |
本年度は下記のねじ締結体の解析を行った。 (1)ボルト・ナットを用いた中空円筒の場合: 温度変動下でのねじ締結体の特性を把握することを目的とし,アルミニウム製中空円筒を1組の鋼製ボルト・ナットあるいはねじ込みボルトを用いて締結された締結体が温度変動する環境下に置かれたときの締結体全体の昇温温度とボルト軸力の変動,被締結体に発生する熱応力,ひずみなどに関して弾性論に基づいた理論と実験の両面より解析を行った。 (2)熱伝導を受けるボルト・ナットで締結された長方形厚板の場合:1本のボルト・ナットで締結された2枚の長方形厚板が一端面から加熱され熱供給を受け,同時に他端面から放熱を受けるような締結体内の温度分布およびボルト軸力変動について解析を行った。締結体内の温度分布については差分法を用いて解析し更に締結ボルトの軸力変動量およびこのとき同時にボルトに発生する曲げモーメントについては締結体のばね定数およびコンプライアンスを導入し,それぞれ理論および実験の両面よりこれらを明らかにした。 以上の各締結体についてそけぞれ数値計算を行い,これらの中空円筒の外径あるいは板厚と内径(ボルト穴径)との比,被締結体の材質,締結ボルトの締め付け長さなどがボルト軸力に及ぼす影響について数値的に明らかにし,これらがボルト軸力に及ぼす影響について検討した。有限長帯板締結体についてはボルトに発生する曲げモーメントの影響についても同様に検討を行った。一方,実験による検討ではボルトと被締結体(中空円筒,有限長帯板,管フランジ)に高温用ひずみゲージを貼り,締結体の加熱温度とボルト軸力およびひずみの変動量を実験により計測し,解析結果と実験結果の比較検討を行い,計算結果と実験結果はかなりよく一致することを示し,本解析法の妥当性が確かめた。
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