研究概要 |
本年度は、まず気体膜潤滑理論に基づいて圧電素子を利用した動圧形ステップスラスト気体軸受装置の詳細設計をおこなった.この装置は3個のパッドを有する動圧形スラスト気体軸受装置で、軸受すきま形状は最も大きな負荷能力の期待できるステップ形式とし,各ステップ部の背面には積層形圧電アクチュエータを設け、これによってステップ部を上下方向に駆動することによりステップ比a(=(h_2+h_s)/h_2)を変えられるようにした.回転軸の上下方向変位は非接触式変位計によって検出し、この信号に基づきコントローラを介して圧電アクチュエータを駆動させ、ステップ比が常に最適値(負荷能力を最大とする値で約2.0)となるよう、あるいは最小すきまh_2が一定となるようステップ比の値をアクティブ制御することとした.なお、回転軸は静圧空気軸受によって垂直方向に非接触に支持し、ビルトインモータによって約20,000rpmまで連続的に回転できるように設計した.一方、コントローラを設計するに際して、まずステップスラスト気体軸受の負荷容量とステップ比の関係w=f(a)/h_2^2を気体潤滑レイノルズ方程式を数値解析して求めた.基本コントローラとしては、直列補償要素、フィードバック補償要素、圧電アクチュエータを含む制御対象の特性等より構成される2自由度コントローラとした.さらに、圧電アクチュエータの基本特性についても調べ、本システムによる軸受すきま制御の可能性を確認した.また、同定法により気体膜の弾性及び減衰特性を計測する方法についても検討した.装置の一部は既に製作済みであり、平成7年度の初期には完成の予定である.平成7年度はこの軸受試験装置を用いて、さまざまな荷重変動に対するすきま変動、軸受のコンプライアンス特性、位置決め性能などを実験的に求め、圧電アクチュエータによる軸受すきま形状のアクティブ制御の効果を実証する計画である.
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