研究概要 |
年度に引き続き、液体窒素中でのレーザー生成気泡の挙動と過渡音響現象を観察した。液体の絶縁破壊で生じるプラズマの緩和により気泡が生成される。この気泡は光軸方向に細長く,これと垂直方向の膨張はビームウエスト径で制限される。成長の初期段階で気泡は非球状であるが,体積の時間変化はいわゆる相似的に変化している。この非球状性は最大半径2mmの気泡の場合で約2μs以内に球形状に移行している。しかし,初期の球からのゆがみは,崩壊末期の物理量が急変する段階で再び気泡運動に影響を及ぼすことになり,高次の振動成分の励起により気泡表面で不安定性が顕著となる。一方,非球状プラズマの発達過程において,複数の圧縮波が観察される。これらの波動はプラズマ生成時に発生する衝撃波包絡線を追いかけるように膨張気泡と干渉する。気泡の崩壊過程で気泡内部に生成される液体窒素の蒸気分子の挙動が重要となり,これら蒸気の存在は気泡運動に対し制動効果をもたらし,崩壊時間の遅延化が起こる。実際,液体慣性と熱力学的効果を分離して評価可能であるキャビテーションパラメーターの調査により,水中に比して,液体窒素中の気泡の崩壊末期では熱力学的効果が特に重要であることが明らかとなった。以上の結果の一部は既に「日本学術会議キャビテーションに関するシンポジウム(第8回)」で発表しており,また残余の成果については今年8月開催予定の「日本機械学会流体工学部門講演会」で発表予定である。
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