研究概要 |
平成7年度は,非線形流体制御系の実験装置を用いて実験を行った.ステッピングモータで駆動されるボール弁によって構成されたブリッジ回路をもつ強い非線形特性を有する油圧マニピュレータを制御対象とし,パーソナルコピュータを用いて非線形制御手法を適用した.昨年度に行った数値シミュレーションの結果に基づき,実験を行って,実機において良好な制御性能が得られることを確認した.従来用いられている電気油圧式サーボ弁を用いた場合と比較して,本油圧制御マニピュレータは,制御入力として2つの自由度を有しているため,柔軟な制御が可能で,人間と共存する環境下で望まれものの,従来の油圧制御では実現が困難だったコンプライアンスの制御が容易に実現できることも明らかにした.また,油圧制御系に作用する摩擦は,系の制御性能に大きな影響を与える.そこで油圧系における影響を,基本的な油圧サーボ系について実験および数値シミュレーションの両面から検討した.その結果,油圧系のもつさまざまな非線形特性により特性の異なる非線形振動が発生しうることを明らかにし,それらの発生要因に応じた非線形制御により振動を制御しうることを明らかにした.また,制御弁内の流動数値解析をスプール弁に対して行い,その動特性の評価を行い,制御弁の構造の最適化に関する指針を得た.これらの結果は,宇宙空間,深海中,原子炉内部などの極限環境下での流体駆動の作業ロボットに非線形流体制御系を適用する際の基本的な設計の指針を与えるものと期待される,
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