これまでの一連の研究の結果、非一様磁場下では磁性流体内の磁性体微粒子は一様には分散しておらず、特に磁極近傍に凝集する分布構造を示し、この結果、管内流動においては抵抗の増大となることを明らかにしている。 本課題研究では、非常一様磁場下で形成される微粒子の濃度分布の詳細について測定を行い、磁性流体管内流動特性に及ぼす凝集構造の影響を調べる。すでに報告した様に、この凝集構造いついては、磁性流体の薄膜を透過するレーザー光が示す位相差の非常一様磁場下での分布をもとに、磁性流体内に形成される微粒子の濃度分布と実験的に関連づけている。平成6年度では、1.非一様磁場下で濃度分布が形成される場合と微粒子が一様に分散していると仮定した場合との磁性流体内に作用する磁気力の比較を行った。はじめに、振動試料型磁力計を用いて濃度の異なる磁性流体のそれぞれの磁化曲線を求め、次いで、濃度毎の磁性曲線と非一様磁場下で形成される磁性流体の濃度分布を比較することにより、磁性流体内に作用している磁気力の磁化曲線と非一様磁場下で形成される磁性流体の濃度分布を比較することにより、磁性流体内に作用している磁気力の分布を求めた。その結果、強い濃度分布が形成される磁場近傍の磁場の勾配が大きい領域では、作用する磁気力は、これと一様に分散しているとした場合の磁気力との差も大きくなることを明らかにした。したがって、このような微粒子の濃度分布は変動磁場を印加した場合に生じる磁性流体の管内流動特性にも大きな影響を与えることが予想された。2.以上の結果に基づいて磁性流体のより広い範囲にわたる濃度変化が、変動磁場下で生じる振動流の特性に与える影響について実験的に検討を行った。実験では、粘度の大きい原液(濃度約50wt%)から、これより粘度の小さい溶液(濃度約20wt%)の、粘度変化が大きい範囲の磁性流体を使用したので、内径がこれまでの約3倍(d=15mm)のU時管を用いて測定を行った。その結果、濃度の変化とともに磁性流体の粘度の変化が振動特性に大きく関与するようになり、最大振幅の変化については最適な濃度と磁性流体の質量が存在することを明らかにした。
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