研究概要 |
前年度は非一様垂直磁場を印加した場合についての研究を行った。 本年度は前年度の研究結果を基に,今回購入した一様垂直磁場発生用電磁石を用いて,磁性流体プラグの振動特性について,磁性流体の濃度の影響に関する詳細な実験を行った。この場合磁極の長さが前年度に用いた電磁石の磁極の2倍なので,これまでの様な振幅のわずかな増加で発生する非線形的な振動を避けることができ,振動する磁性流体プラグの振幅がこれまでの3〜4倍の大きさまでの測定が可能であった。これにより磁性流体プラグの振動特性に与える磁性体微粒子の濃度の影響がより明確になった。 本年度はまず,新しく購入した電磁石の非一様磁場の部分を利用して前年度と同様の実験を行った結果,原液(質量濃度50%,ケロシンベース磁性流体)とこれを希釈した磁性流体とを用いて,振動数を変えて変動磁場を印加した場合のプラグの振動特性について調べた。その結果,濃度が低下するにつれて最大振幅は減少し,最大振幅を示す振動数も小さくなることを明らかにした。 次に印加磁場の範囲を,一様垂直磁場の部分も含めることにより,前回よりプラグ長さ方向にひろくした場合について,磁極中心とプラグ長さの中心を一致させて変動磁場を印加した場合,希釈した磁性流体ではプラグの振動がほとんど誘起されないのに対して,濃度が高い場合には振動運動を生じることが分かった。 磁性流体を封入したシリンダ内にピストンを挿入し、バネ-マス系を構成させてシリンダと連結させた磁性流体粘性ダンパの振動特性に関して実験を行った。また、解析としてはシリンダ・ピストンの間隙内の流れに無限長二重円管内の流れを仮定しピストンの振動特性を求め、実験結果と比較した。その結果、磁場下では磁性流体のみかけの粘度増加によりピストンの振幅が無磁場に比較し減少することを明らかにした。
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