本研究では、管内超音速流れに電磁力を印加し、流れの中に発生する圧縮波や衝撃波を積極的に減衰・消滅させることを研究目的とする。従来の研究では、流路内に発生する衝撃波についてはその空間的な構造や時間的な挙動について多くの研究がなされてきたが、それを積極的に減衰/消滅させることは行われていなかった。本研究ではMHD発電に関係して電磁力を印加し、その強さを変化させること、また電磁力の空間的な強度を変化させるにより、衝撃波の位置やその強さを制御する方法を提案し、その原理的な実証を試みた。平成6年度から研究を開始し、これまでに以下のような成果を得た。まず、流れに電磁力印加が可能となるように作動流体としてアルゴンを選び、これに電離物質として微少のセシウムを添加し、超音速流れ内に生じる衝撃波を観測した。この流れに磁場を印加することにより流れにローレンツ力を作用させ、電極間の抵抗値を変えることにより電流を制御し、それにより衝撃波の強さと位置が大きく変化することを実験的に検証できた。また、圧力条件を変化させることにより、衝撃波の位置やその強さも変化すること、空間的に一様な電流を印加した場合には、その衝撃波が大きく減衰することを指摘できた。さらに、流路上流のノズル内で電磁内を変化させることにより、流路内に発生する衝撃波の位置が制御できることを見出した。また、電極位置や結線方法を変えることにより超音速流れ場が変化し、最適条件では衝撃波が減衰できることが分かった。また、電磁力印加による衝撃波制御で問題となる流れの圧力損失についても空間的に詳細に計測でき、圧力損失が流路のどの部分で生じているか、またその損失のメカニズムについて知ることができた。このように、本研究により衝撃波の発生とその消滅が電磁力の制御により可能であることを示すことができ、電磁流体力学に新たな知見を加えることができた。
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