研究概要 |
平成6年度に作成したスクイーズ流れおよび放射状流れの実験装置を用い,本年度は液晶高分子溶液について比較的狭いすきまにおける配向状態の変化を中心的に調べた。特に流動履歴効果を利用し,流れの構造を変化させる実験を行った。実験としては,まず平行二円盤間に放射状流れを発生させ,一旦流れを停止させた後,スクイーズ流れを発生させ,その際の液晶高分子の流動状態を調べた。その結果,プレシア(放射状流れ)の強度によりその後に続くスクイーズ流れの条件が同じであっても全く異なった流れの構造を示し,流体中に発生する伝達荷重も様々なパターンを示すことが明らかになった。また、停止時間の長短により同様にスクイーズ流れでの流動状況も影響されることがわかった。これらの結果により比較的狭いすきまの流れにおいて液晶系の流体では流動履歴効果を利用することにより状態を制御でき,機能を調整できる可能性があることが確認された。また、実験と並行して行った解析的研究においてはCarreauモデルを用いた数値解析を行った。これにより,プレシアの強度が弱い場合のスクイーズ流れでの流動状態はこのモデルで予測可能なことが明らかとなった。 また,低分子の液晶に対する微小すきまのスクイーズ流れに関しても並行して検討を行った。まず,微小すきまにおけるスクイーズ流れで生じる二次元ポアズィユ流れを電圧印加により流動特性を変化させる実験を行い、数十μmのすきま内の液晶の流れで生じる抵抗を4〜5倍程度増加させることができ,その効果はすきまが小さいほど大きくなることがわかった。この結果からスクイーズ流れでの電場印加時の特殊な効果が算定され,現在,実際のスクイーズ流れでの実験を継続して実施している。
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