研究概要 |
スクイース流れおよび放射状流れが実現できる実験装置を用い、液晶高分子溶液について比較的狭いすきまにおける配向状態の変化を中心に調べた。特に流動履歴効果に注目し,まず平行二円盤間に放射状流れを発生させ、一旦流れを停止させた後、スクイーズ流れを発生させてその際の液晶高分子の流動状態を調べ、以下の点を明らかにした。(1)プレシア(放射状流れ)の強度によりその後に続くスクイーズ流れの条件が同じであっても、全く異なった流れの構造を示し、流体中に発生する伝達荷重も様々なパターンを示す。(2)停止時間の長短によってもスクイーズ流れでの流動状況が影響される。(3)これらの結果から比較的狭いすきまの流れにおいて液晶系の流体では流動履歴効果を利用することにより配向状態を制御でき、機能を調整できる可能性があることが確認された。(4)実験と並行して行った解析的研究においてCarreauモデルを用いた数値解析から、プレシアの強度が弱い場合のスクイーズ流れでの流動状態はこのモデルで予測可能なことが明らかとなった。 また、低分子の液晶に対する微小すきまのスクイーズ流れに関しても並行して検討を行った。まず、微小すきまにおけるスクイーズ流れで生じる二次元ポアズィユ流れに電場を印加して流動特性を変化させる実験を行い、数十μmのすきま内の液晶の流れで生じる抵抗を4〜5倍程度増加させることができ、その効果は電界強度の二乗に比例して大きくなることが分かった。この結果からスクイーズ流れでの電場印加時の効果を算定した結果、すきまが狭くなると電界強度が上昇するため、電場印加時の粘着のシアシニングによる荷重保持力の減少傾向が相殺され、スクイーズ運動のすべての範囲で良好な電気粘性効果が得られることがわかった。この点を詳細に解明するため、今後も実験を継続する予定である。
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