研究概要 |
上記研究課題に関する研究を以下のごとく行った。 1.レーザーの焦点が気泡を取り囲むようにレーザー光を高速掃引する方法(方法1),ならびに気泡の上方のある一点に細いレーザー光が集束するよに高速掃引する方法(方法2)を用いて,半径10μm程度の単一気泡のレーザー捕捉に成功した.方法1では,開口数が非常に大きく,焦点距離が短い対物レンズを用いる必要があること,そのため,レンズと捕捉された気泡との距離がかなり近くなることがわかった.一方,方法2では,方法1に比べて小さな開口数,長い焦点距離のレンズを用いてレンズ面から離れた位置で捕捉が可能となり,境界の影響を受けにくい方法2の方が気泡振動の実験に適することが明らかとなった.現在,主として方法2を用いて,振動場における気泡の非線形振動特性を解析している. 2.気泡内の気体の熱力学的な効果を考慮した気泡群の運動方程式を導出,数値計算することにより,以下のことが明らかとなった.(1)気泡の半径方向振動が比較的緩慢な場合には,その振動特性に及ぼす気泡内部における熱移動の効果を,等価ポリトロープ指数ならびに等価粘性係数を用いて評価することが可能であるが,気泡振動の非線形性が強くなると,気泡内部の熱移動の効果をその支配方程式から直接的に評価する必要がある.(2)振動場中での気泡の半径方向振動特性ならびに表面振動特性を把握するためには,並進運動の効果を考慮することが重要である. 3.境界要素法を応用した数値解析手法を開発し,大変形する気泡の挙動に及ぼす気泡内気体の熱力学的な効果を解析した.その結果,気泡内の温度分布は気泡変形に大きく依存し,ジェットが発生する近傍の気泡内の温度境界層は非常に薄くなること,熱移動の効果で気泡の崩壊が助長されることが示された.
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