| 研究概要 |
前年度の研究成果を踏まえ,引き続き,入口偏流を伴う場合について,羽根車側板とケーシング間における流動状態を非定常的に調べた.また,入口偏流は羽根車の偏心を誘発するから,実際に羽根車を偏心回転させた場合についても同様に調べた.その結果,次のような知見をえた.
1.入口偏流の影響は羽根車出口まで及び,羽根車の回転方向とは逆方向の旋回流入の場合にとくに顕著となり,羽根間1ピッチ通過毎の脈動振幅が極めて大きい.
2.その脈動は羽根車側板とケーシング壁の流動状態にまで影響を及ぼし,羽根車に働く軸方向の流体力変動を引き起こす.
3.羽根車側板に働く圧力は半径の減少とともに当然減少する傾向にあるが,ポンプ流量が増加するにつれてその低下割合は前述の脈動を伴って周方向に大きく変化し,羽根車の味噌すりの回転の原因となる.
4.羽根車が偏心回転すると,羽根間1ピッチ毎の圧力脈動に羽根車1回分に相当する変動が加算され,漏れ流量の増加とともに半径方向の圧力差が増大する.このとき,ライナリング部に近いほど偏心の影響が相対的に強くなるから,1回転分の変動振幅も顕著となり,ライナリング部の最小隙間に相当する周方向位置の圧力が最低となる.
5.羽根車側板とケーシング間の流れを時間的および空間的平均でみると,円筒容器内の回転円板に沿う流れである程度予測できる.
|
