研究概要 |
本研究は混雑した粒体を運動状態で高速に計数できる画像解析システムの開発を目的としている.基本的な機器は準備されており,また,計測解析には過去の研究で開発したのアルゴリズムが適用できる状態で本研究は出発した.したがって,本年度の研究はソフトウェアの試作かる始め,主として,プログラムの動作をコンピュータシミュレーションによって検討する事であった. コンピュータシミュレーションによって問題点を発見し,それをアルゴリズムの検討とソフトウェアの改良によって性能改善を行う過程を繰り返した.最終的にはシミュレーション画像による検討を終えてモデル実験画像を用いて検討する段階にまで進めることができた. 解析手法は,第1段階では識別の容易な粒子を選別し,識別結果の信頼性の低い粒子は信頼性の高い粒子データを基にして再検討を加え,次第に識別の信頼性を高めてゆき,信頼性の低い粒子は次の時刻の画像の解析結果を参考にして解析を行うことによって,全体としての解析の信頼性と解析効率を高める方法をとっている. コンピュータシミュレーションでは,最初はプログラムエラーや解析の不十分な点を発見するために低分布密度の粒子画像に対して解析を行うことによってプログラムの検査と解析アルゴリズムの検討を行った. 同様の過程を繰り返して,次第に粒子分布密度の高いシミュレーション画像に対して解析性能を高め,多数の粒子像が重複する状態でも誤測定はかなり抑制できる状態になったが,一方では「再検討を要する」と分類される粒子がかなり多くなる傾向が見らた.モデル実験画像の解析からは,解析の正確さのためにも画像の解像度を高める必要のあることが確認された. 今後は,再検討を要すると判別された粒子に対する処理能力を高める方向で性能改善を図る予定である.すなわち,誤測定を避けて再検討に回された粒子については,第2段階で入念な解析を行って正しく計測すればよい. 以上の研究の具体的な内容は,主として発表論文の1,2に述べている.また,アルゴリズムの改善とモデル実験の結果の一部は論文3,4で発表の予定である.
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