研究概要 |
本研究は多数の混雑した粒体を運動状態で高速に計数できる画像解析システムの開発を目的としている.計測解析には過去の研究で開発したのアルゴリズムが適用できる状態で本研究は出発し,昨年度には,解析ソフトウェアの原型作成とその性能をシミュレーションによって計測アルゴリズムの有効性を確かめた.本年度は昨年度に引き続いて,シミュレーションによって発見された問題点をアルゴリズムの検討とソフトウェアの改良によって性能改善を行う過程を繰り返しすことによって,単純なモデル実験の画像から実際に近い画像を対象にして性能向上を図った. 計測手法は,まず画像毎に高速計測した結果から,信頼性の高いデータだけを抽出して,その計測結果を時系列的に重ねることによって,全体としての計測の信頼性の高める方法である.二値画像解析だけで対応する予定であったが,階調画像の段階である程度識別しておくことが必要であることが分かったため,階調画像処理の機能もつけ加えた.計数段階では中実の粒子像が得られることを前提としていたため,気泡のように部分的に光が透過しする対象には特別な前処理の必要なことがわかった.中実の粒子像の得られる場合に付いては所期の目的を達成できたが,光の透過や強い反射による不完全な粒子像については一応の対処はできるが完全ではない. 画像の二値化,面積計数,パターンマッチングやラベル付けなどの基本的画像処理の新しいアルゴリズムを開発して,総合的な処理時間の短縮に成功した. 以上の研究の具体的な内容は,画像計測技術とモデル実験結果の一部に関しては,発表論文の1,3,5に述べている.また,モデル実験と実用的計測については論文2,4で触れているが,詳しい内容は今後発表の予定である.また,本研究に関連して,8件の口頭発表を行っている. なお,解析速度に関してはまだ改善の必要があるが,現在でも上級のWS上では一応所期の処理速度は達成できている.今後のシステム化とハードウェアの発達を見込めば,遠くない将来にパーソナルコンピュータでも高速処理が実現できる.また今後は,多数の気泡が混雑して運動している場合にも対応できるようにしたい.
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