小型の熱線風速計を遠心羽根車と同じ速度で回転させて、羽根車通路内の相対流れを計測し、時間平均流れの分布とレイノルズ応力の6成分の分布を羽根車通路中間の翼間において求めた。この実験では、パーソナルコンピュータ及び各種のボード類(科学研究費補助金で購入)により、計測データの異常診断を行い、レイノルズ応力データの信頼性向上に役立てた。 本研究の熱線による通路内流れ計測結果は、報告者の5孔球形ピト-管による従来の計測結果と対比して、実験データの信頼性を検討した。この結果として、 1.時間平均流れはピト-管で計測した場合とほぼ一致しているが、ピト-管に比べ今回の熱線による実験では、羽根車通路内のシュラウド近くにおいて二次流れの影響がより鮮明に計測できた。 2.乱れのエネルギー及びレイノルズ垂直応力の3成分は、シュラウド近くの羽根間中央から負圧面側の領域で大きく、ピト-管による計測で得られている損失領域とほぼ一致し、羽根車通路内の乱流による混合損失の増大が明らかになった。 3.テイノルズせん断応力の3成分は、垂直応力や乱れエネルギーの大きい領域で高く、その符号は平均流れの速度勾配に関連して変化する傾向があり、定性的に渦粘性の概念に基ずく値を示した。
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