研究概要 |
雪層の融解実験で用いた水溶液は塩化カルシウム水溶液であり,水溶液の温度と濃度を広範囲に変化させて雪層の融解実験を行った.本実験は特に水溶液の温度を高めた場合の融解挙動を把握することが主目的である.水溶液の温度は雪層の温度である-5℃を基準最低温度として,これより高めた0℃,10℃,20℃の4種類の水溶液温度で雪層の融解実験を行った.水溶液の温度と濃度に見合った雪層の融解挙動を示した.水溶液の温度が雪層の温度よりも高い場合には,両者の温度が同じ場合と比べて融解系の温度降下量が大きいことが認められた.そして融解終了時の融解系の平衡温度は水溶液温度の上昇につれて高くなって溶質の平衡濃度は低下した.このことは水溶液の温度が高くなるにつれて,雪層の融解量もそれに伴って増加することを示すものであり,温度・濃度の複合効果が顕著であることが実験的に認められた. 解析についても一部実験と並行して進めており,まだ,未完成な結果ではるが,数値解析結果は実験の傾向を定性的に説明できそうである.この結果は日本機械学会熱工学部門講演会(平成6年11月25日,仙台)で発表した.平成7年度は本格的に定量的な解析を行う予定であるが,もし,余力があれば例えばプロピレングリコール水溶液など他の水溶液でも融解実験を行いたいと考えている.また,この研究でもっとも重要な物性は水溶液の比熱であるので,温度と濃度が広範囲に渡って変化した場合の比熱の測定も行う予定である.
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