空気熱源式ヒートポンプ用熱交換器は、寒冷地のような外気条件によって、蒸発器面上に空気中の水蒸気が着霜する。この着霜は、伝熱特性の劣化だけでなく流路の閉塞による抵抗を増大させ、最終的にはブロ-ダウンを引き起こすため、これに対する対策が極めて重要である。 本研究は、高熱伝達率を維持しながら着霜剥離を高圧電場を付与することによって実現しようとするものである。 本年度は、温度・湿度調整可能な風洞に単一円管を設置し、円管内にブラインループによる冷媒供給によってその表面に着霜させ、温度、湿度および流速を変化させ、着霜状況をCCDカメラによって観測すると同時にネット電極を用いて、電場付与による着霜剥離の効果を定量的に測定した。また、着霜剥離は伝熱面に対する霜の付着力と密接に関係することより、伝熱面にハ水性のコーティング処理をした場合の濡れ性の効果についても検討した。 得られた結果を以下に要約する。 (1)着霜は、前方領域と剥離域によってその霜構造を異にする。 (2)電場付与による着霜成長の抑制効果は、剥離域ほど著しい。 (3)ハ水性処理をした場合、自然対流において着霜は裸管の場合に比して粗になり霜層高さは高いが、着霜量は低下する。しかし、強制対流の場合、逆に霜層高さは低く着霜量も少ない。 (4)電場付与による着霜成長の抑制効果は、濡れ性によって大きく影響されることはない。 (5)電場付与による着霜成長の抑制は、霜の等方成長から電場による一方向成長に変化することによって、Maxwell応力による剥離効果が増長されることによると思われるが、これについては、水素結合に関する分子論的な検討が必要であり、次年度の課題と言える。
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