本研究は、着霜剥離を促進するために、パルス放電による高圧電場付与を実現し、着霜の成長・抑制特性を明確にすることが目的である。 得られた結果を以下に要約する。 (1)局所熱伝達測定用円柱を製作し、ネット電極による連続電場付与による熱伝達率を測定し霜成長の抑制特性を明らかにした。基本的には印加電圧が高いほど抑制効果は高く、はく離域ほど効果的である。 (2)伝熱管表面に水性の絶縁膜をコーティングした管を製作し、これにより、連続電場付与より、伝熱面から霜の剥離離脱性能の向上を検討した。 コーティング管による濡れ性の効果について、着霜の状況を観察し、霜生成への影響を明確にした。電場付与のに伴う各因子に対し測定し、着霜剥離の時間変化を明確した。ハ水性膜(ネオフロンFEPフィルム:4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重体)の効果は、着霜初期において顕著であるが、時間経過と共に顕在化しなくなり、一時間後で、その効果は裸管に比して約3%程度改善される。 (3)基本的に電場付与による霜層成長抑制効果は霜の成長期においてであり、実際には、電場付与により、霜(水)の分極が起こり、同時にプロトンのオーダリングのため、霜は等方成長から異方成長に変化し、急速に成長する極めて針状の霜が成長し、それが電場(コロナ風)によって吹き飛ばされという機構になっていると思われる。結果的には電場付与により着霜促進と針状化による離脱の促進という構造になるが、ミクロ的な構造の検討が今後の課題といえる。 (4)霜の針状化に対応して着霜面を0.5mmの狭い形状にしてパルス放電を行い抑制の効果を検討した。パルス周期が大きく、デュティー比が大きいほど効果が高い。印可電圧が同じで、パルス周期が小さいと連続印可より劣化する。 したがって、如何に高電圧を高周波で印可するかということが基本的に重要であり、その印可機構を向上させることが今後の課題である。
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