研究概要 |
火炎観測装置を製作し,レーザーシートを用いたNOの画像計測法を確立する事を本年度の第一目標とした。励起波長にはA^2Σ^+-X^2П電子遷移の(0,0)バンドQ_1(18)吸収線(225.835nm)を使用し,(0,2)バンドの247.1nmの蛍光を計測した。レーザーシート強度分布の補正には10ppmのNO標準ガスを使用した。レーザーパワーは1mJ/pulseに設定し、透過率可変のNDフィルターを用いてレーザーパワーを変化させ,レーザー強度と蛍光強度が線形関係にある事を確認した。次に,幾つかの火炎について測定した。メタン-空気の予混合火炎では,層流と乱流の両方の場合に,NOの蛍光は未燃部分では認められず,反応帯外側から下流にかけての幅広い領域に存在する。メタン層流拡散火炎では,未燃部分にも信号が確認された。この信号光がO_2やPAHの蛍光や,燃料のラマン散乱でないことを確認し,反応帯外側のNOが未燃部分に拡散した事が判った。又,2ppmのNO標準ガスでも充分な蛍光強度が得られた事から,かなりの低濃度でも検出が可能であると考えられる。又,当初はNOのみを測定対象としていたが,NO_2についても検討した。励起波長をA^2B_1-X^2A_1電子遷移の439.0nmに設定し,479.5nmの蛍光を計測した。レーザーシート強度分布の補正には,500ppmのNO_2標準ガスを使用した。レーザーパワーは17mJ/pulseに設定し,線形領域で測定した。層流火炎では検出できなかった。これは,ガスタービン等の既燃ガスが急冷した場合にのみNO_2が観測されるという事実にも裏付けられる。NO_2の標準ガスを更にN_2で希釈して,大気条件での測定濃度限界を探った。その結果,最低2ppmまで検出が可能である事が判った。
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