研究概要 |
容器内に水素を単発噴射し,噴射開始から0msおよび3.6ms後に火花点火させたときの火炎噴流とその周囲空気の挙動とをレーザシート法にて可視化した.あらかじめ,容器内には中空散乱微粒子を浮遊させておいて,レーザシートを通過させ,任意の時間だけCCDランダムシャッタカメラのシャッターを開けることにより,その時間内の粒子の動きが流跡として撮影される.この画像から,周囲空気の導入過程を明らかにする事を目的として本研究を実施した. (1)燃焼すると,周囲空気中に浮遊させておいたマイクロバルーンが溶けて火炎噴流が可視化される.この画像から,火炎噴流体積を求め,容器内の圧力経過から2領域モデルを用いて全体的な空気導入量が計算された. (2)火炎噴流の場合,火炎境界が一旦半径方向に増加し,その後,減少する.したがって,噴流側面部からの空気導入量は,マイクロバルーンの流跡画像と火炎境界の移動量とから計算された. (3)2波長のレーザシートを3層化し,1台のCCDカメラの同一画面上に2波長の噴流断面像を撮影できる光学系を完成させ,火炎噴流前面部の周囲空気の挙動を撮影した.その結果,火炎噴流前面部からの空気導入が観測された. (4)3.6ms後に点火した火炎噴流の場合,点火後しばらくは空気導入は行われず,点火前に噴射された水素と空気が十分に混合され,急激な熱発生の後に,周囲空気の導入が活発となることが分かった.また,火炎噴流と非燃焼噴流の全体的な空気導入量はほぼ同程度であった. (5)燃焼の場合,非燃焼の場合よりも単位面積当たりの空気導入量が少なく,噴流発達とともに噴流前面からの空気流入率は少なくなることが分かった.
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