実験装置・方法 (1)伝熱面 サファイアガラス基材、直径76mm(加熱部直径50mm)、厚さは3mm、表面に温度センサーおよび膜厚センサーを配列、裏面のITO膜コーティングヒ-タにより加熱 (2)沸騰容器 ポリカーボネイト垂直円筒、内径120mm×長さ400mm、端面に伝熱面を配置して現象を2次元化、圧力は金属ベローズの内圧を窒素ガスで調整 (3)実験条件 エタノールを試験液体、系圧力P=0.01〜0.02MPa、液体温度t_b=25〜37℃、液体サブク-ル度Δt_<sub>=0〜27K、熱流束q≦9000W/m^2 実験結果 熱伝達係数と付着気泡底部ミクロ液膜挙動のgレベルによる変化 低熱流束域では1g下において伝熱面中心部のみから発泡が生じているのに対し、μg下では伝熱面中心で大きな気泡が周期的離脱する状況が観察された。伝熱面中心部でのμg下の熱伝達係数は1g下の値と比較してかなり高い値となる。これはμg下で気泡底部の液膜厚さが薄くなるという測定結果と対応している。このような場合であっても、伝熱面中央部の面積占有割合が相対的に小さいので、伝熱面全体の平均熱伝達への影響は鈍感である。すなわち従来のような平均熱伝達のみの議論ではgレベルの影響を的確に把持することはできない。 中熱流束域では1g下において伝熱面周辺を除いてほぼ均一に発泡点が分散している。μg下では伝熱面全体を覆う大気泡が出現し、後続のいくつかの気泡が大気泡底部を持ち上げている。また大気泡の周囲は相対的に小さい気泡で取り囲まれており時折水平合体の形で大気泡に取り込まれる。大気泡は周期的に離脱し、後続の気泡が次の大気泡へと成長してゆく。μg下での熱伝達係数は1g下の値と比較して、伝熱面中央部の値が著しい低下を示す一方で、周辺部の熱伝達係数は逆に増加する。しかしμg下では伝熱面中央部における液膜厚さの測定値は明らかに現象しており、乾き部の出現がないことが映像のみならず、液膜厚さが一定値以下にはならないことからも確認される。従来の考え方によれば、液膜厚さの減少と熱伝達係数の低下は相矛盾する事項であり、今後の検討課題である。
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