本研究の目的は二相密閉型熱サイフォン内の熱伝達に関して、熱流束、圧力および作動液体を広範囲に変えて実験的研究を行い、より広範囲に適用できる熱伝達係数および限界熱流束の整理式を提出することである。また、二相熱サイフォンの作動液体として、フロンもよく使用されるが、オゾン層の破壊のために特定フロンは1995年以降生産と使用が禁止される。したがって、二相熱サイフォン内の作動液体も代替フロンまたはフロン以外の液体に切り替える必要がある。本研究は代替フロンに関するデータを提出することも研究の目的である。 6年度は上記の目的を達成できる実験装置として、加熱部に内径16mm、厚さ1mmのステンレス管を用い、直流による直接通電加熱によって、限界熱流束まで加熱できるようにした。冷却部には内径16mm、厚さ3mmの銅管を用い、冷却ジャケットとの間に冷却水を流し、できるだけ等温壁が得られるようにした。熱サイフォン管製作後、真空保持試験を行った。そのほか、壁面および管内温度測定用熱電対、補償用ヒ-タ等を設置して、周辺機器も含めた実験装置を製作した。次に、予備実験として、エタノールを用いた実験を行い、従来のデータと比較して良い一致を示したので、信頼できるデータが得られたことを確認した。次に、代替フロンであるHCFC123を用いて、熱伝達係数と限界熱流束にのデータを得た。7年度はHFC134a、水、ペンタン、その他の液体を用いた実験を行い、熱伝達係数と限界熱流束について、より広範囲に適用できる整理式を提出する予定である。本年度の研究の反省としては、6年度研究計画調書で購入予定していた圧力計では、管内圧力を充分精度良く測定できないことが分かったために、異なった形式の圧力計を購入した。このため、備品費が14万円程度大きくなったことである。なお、研究成果の発表は7年度にまとめて行う予定である。
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