ヒートポンプの熱源および冷熱蓄熱材としての土壌に着目し、特に海浜地域での開発を想定して、海水(3wt%塩化ナトリウム水溶液)で満たされた土壌(粒子充填槽)内に水平に置かれた円管周りの凍結・融解問題を解明する事を目的として、(1)地下水流が存在する場会の凍結実験、(2)ミクロな観察、(3)解析方法の確立を行い、以下の成果を得た。 1.温度差・濃度差による自然対流および地下水流による強制対流を考慮した凍結過程の解析方法を構築した。自然対流と強制対流が相乗する下向きの強制対流の場合に対し、解析により得られた温度分布が実験により得られた温度分布と良く一致することにより、本解析方法の有効性を確かめた。 2.解析により、マッシュ領域における氷の体積割り合いの分布、固相領域における共晶固体の体積割り合いの分布に対する自然対流と強制対流の影響を明らかにした。 3.解析により、凝固した固相の体積および冷却円管への電熱量に対する流速の影響を明らかにした。 4.マイクロスコープによるミクロ観察の結果、粒子間の過冷却水溶液の凝固はデンドライト状の結晶が間隔を直線的にまた粒子に沿って曲がりながら進行する事が分かった。観察に当り購入した高品位マイクロスコープが有効であった。 今後、自然対流と強制対流が強い干渉を起こす上向きの強制対流の場合の検討が十分ではないので、流れの可視化実験を含めてさらに検討を行う予定である。
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