1.大気圧のもとで、約700℃に加熱した銅球を飽和温度の水の中に浸漬する非定常的な沸騰実験を行い、以下のことが判明した。 (1)冷却過程の球の温度変化より求めた沸騰曲線は、従来定常法により得られた曲線と同様の傾向を示した。 (2)球に低周波の振動を加え、上記の実験を行い沸騰曲線を得た。低周波域では膜沸騰から遷移沸騰へ移行する際の球表面温度が高温側に移行する傾向が判明した。 (3)球の大きさの影響、すなわち熱容量と伝熱面積の違いの影響を調べた。その結果、大きい球ほど振動の効果が大きいことが判明した。 (4)高温の球を振動させることによる除熱の効果は、低周波の領域では検証できた。今後、高周波数領域での影響を追加実験する必要がある。 2.定常沸騰が実現できる円筒形の伝熱面を製作し、有機液体による沸騰実験を行った。この伝熱面は超音波振動体と直結しており、伝熱面自体が超音波振動をする。核沸騰領域で振動を与えることにより発砲が抑制される特異な沸騰挙動が観察された。今後、詳細な検討が必要である。また、この実験でまだ膜沸騰を実現できていないが、この領域での超音波振動の影響も今後の課題である。
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