表面に弾塑性変形や摩耗が生じる物体が、転がり接触あるいは滑り接触をすると、鉄道レールに発生する波状摩耗のように、接触表面の振動に起因してコルゲーションと呼ばれる周期的な変形が接触表面上に発生する。この現象を解明するための基礎的な研究を行った。 本年度の研究では、従来の実験装置を参考に、2つの車輪が転がり接触する実験装置を新たに製作した。この装置は、接触面内の滑り特性を管理、計測できること、上下振動に加えて、回転方向の振動も計測できること、という2つの特徴をもっている。このような滑りと回転振動系を管理した実験の試みは未だ行われていなかった。具体的には、滑りに関しては、2つの車輪間のアタックアングルが管理可能であり、さらに、2つの車輪の回転を独立のサーボモーターで駆動することにより、0.05%の精度でスリップ率を管理できる。また、エンコーダーとF/Vコンバータを用いて10kHzでの高速サンプリングを行うことにより、1kHzまでのコルゲーションについて計測可能である。また、上下振動系に加えて回転振動系の特性を調べるために、ねじり剛性を変えられる。 実験は開始したばかりで、詳細な結果は得られていないが、現在までのところ、接触面内に縦滑りを与えると、回転振動系に関連するコルゲーションの発生が見られ、従来十分解明が行われていなかったコルゲーション現象が再現された可能性が強い。 一方、鉄道レールのような一方の接触体が円盤ではない場合に対処するため、弾性支持梁上を接触剛性を伴いながら荷重が移動するモデルによる計算も平行して行っており、本年度はモデル化が終了した。
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