研究概要 |
ディスク装置は,小型化とともに利用形態が多様化し,走行体に搭載されるようになってきている.このような利用形態においては,走行体の運動や振動によって装置全体が動作中に基礎励振を受けるため,装置を設計する際には動作時における基礎励振に対する装置の振動特性を把握しておくことが必要である.本研究では,設計のための合理的な指針を得ることを目的として,基礎励振を受けるディスク装置の動作時におけるディスクの振動特性を解析した.ディスク装置のディスク・スピンドル系を,弾性円板としてのディスク,剛体としてのハブ,弾性および減衰要素としての軸受の接続系としてモデル化し,回転による遠心力の影響やジャイロ効果を考慮して,動作時における系の固有振動と基礎励振に対する定常応答について理論式を導いた.固有関数展開とリセプタンス法を用いて,系の運動を軸方向の並進と軸の傾きに関する前回り,後回りの振れ回りの三通りの運動に分離して記述することによって明快な定式化ができた.また,ディスクとスピンドルの動剛性のグラフから系の固有振動数を図式的に求める方法を考案した.さらに,解析モデルに半径方向の自由度も加えてディスクの面内運動も考慮した.解析的な検討と数値計算結果から,系の固有振動数に及ぼす軸受剛性やハブの質量の影響,基礎励振に対するディスクの面外方向と面内方向の応答に及ぼすジャイロ効果や軸受・ディスクの減衰の影響を明らかにした.そして,ディスクの屈曲振動の成分がその面内振動にも現れることを示し,ディスクや軸受の取付位置がそれに及ぼす影響を明らかにした.また,ジャケットより取り出した光ディスクとスピンドルモータで構成される実験装置を用いて系の固有振動数と基礎励振に対する応答を測定し,実験結果と数値計算結果を比較して,解析モデルの妥当性と解析手法の有用性を確認した.
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