研究概要 |
調査の結果,自動車タイヤの多角形摩耗現象の特徴は以下のように要約される. 1.駆動輪ではなく,従動輪に発生する.とくに,FF車の後輪での発生例が多い. 2.ホイールアライメントのうち,ト-インが大きすぎると発生し易い. 3.多角形摩耗を引き起こす原因の一つは,タイヤ自身の振動と考えられ,その固有振動数がタイヤの多角形摩耗の角形数に直接関係する. 4.角形数は乗用車とトラック・バスでは異なるが,全体的には,10〜20角形が多い. 5.多角形摩耗は外側ショルダ部からタイヤ軸方向に対して斜めに成長することがある. 6.2.5万km〜4万km走行程度で発生する. 7.多角形摩耗の発生例に高速道路走行車両の占める割合が非常に大きい. 8.路面条件,温度,タイヤ材質によって発生する度合いが異なる.アスファルト道路,高温時(夏場)および低内圧タイヤに生じ易い. 9.多角形摩耗は60Hz以上の振動数をもつ現象であるため,ほとんど異音として感知される. タイヤ上下方向1次モードによる多角形摩耗の発生メカニズムを接地面内でタイヤ摩耗量が1回転後には上下方向振動に強制変位としてフィードバックされる時間遅れ系としてモデル化することにより解析的に明らかにした.多角形摩耗が発生すると,タイヤは正多角形のパターンを形成する.発生領域はタイヤ系の固有振動数<タイヤの角形数×タイヤ回転数を満たすある領域にある.タイヤ摩耗量のモデル化およびタイヤ摩耗剛性の差異によって発生領域の広さは殆ど変わらないが,発生度には大きく影響する.一方,減衰は発生領域の広さに直接関係する.トラックタイヤを使用した多角形摩耗現象の実験結果と解析結果の非常によい一致を確認した.
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