研究概要 |
管内の奥深い箇所での検査や点検作業に適する移動装置としてこれまでの研究によって得られている基本設計を基に,車輪とクローラのハイブリッド型自走式移動装置の詳細設計を行った.また,詳細設計を基に走行機構と制御装置の試作装置1式を購入した.さらに,これに必要なインターフェースを組み込んで走行装置と中央処理装置との通信を容易にするためのハードの設計と製作を行った. 具体的には,設計の基本方針として車輪とクローラのハイブリッド走行機構を採用し,クローラ内部にダイレクトドライブモータを取り付けて管内の狭隘空間を有効に使うと共に,逆方向に切られるウオーム歯車を採用して高トルク化とスプロケット数の低減化を図った.また,車輪に結合したエンコーダの回転角情報や操舵輪フレームの走行車本体からの傾き角情報を利用して,走行動作に自律性を持たせた.さらに,走行車はクローラを左右に配置することなく,一方の管壁に接触するクローラ数を1とし管内で自己を逆方向の壁に向けて突っ張ることによって安定に自立するものとした.したがって,走行装置は,一つのクローラとその前後に一つづつの操舵輪を1セットとしてこれらが互いに逆方向の管壁に突っ張る機構と,クローラ,及び操舵輪の駆動機構,さらには操舵角等の検出機構を合体させた装置とで構成される.購入した装置は,メカニズムそのものであるため,これにインターフェースを組み込んで管内走行装置と中央処理装置との通信を容易にした. さらに,管内の点検や検査を自動的に行うための基盤となる操舵制御技術を開発した.これにより,走行装置は常時管の中央部に位置づける操舵制御を自律的に実現できるようになり,カメラから得られる情報を観て状況を判断し,逐一操舵をしなければならないというこれまでのオペレータに任されていた困難な作業の負担を軽減出来るようになった.
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