研究概要 |
従来以上に多様な仕事をロボットが行えるようにするためには,ロボット機構の見直し,新しい制御コンセプトの導入,環境と干渉のある作業域での動作制御等が必要である.本研究では,(1)拮抗駆動関節の特性,(2)マニピュレータによる柔軟物体の操作,(3)宇宙用マニピュレータの制御,(4)水中マニピュレータの制御,に関するテーマを検討した.それぞれに関する成果は以下の通りである. 1.空気圧駆動のゴム人工筋を1対拮抗的に配置した関節について,その発生トルク・関節剛性と人工筋内の空気圧との関係を求め,2つのゴム人工筋の圧力変化により,所望のトルクと剛性を発生できることを明らかにした.剛性を変化させて衝突実験を行い,剛性低下により衝撃力を緩和できることを確認した. 2.マニピュレータにより柔軟物体(板バネ)を変形・操作するための軌道計画問題を扱った.導入した操作コンプライアンス楕円の概念を用いると,モータにとって負荷の少ない軌道計画を実現できることがわかった.また,軌道制御問題では,板バネの特性が未知の場合でも,外力推定機能を付加すれば,良好な実時間制御が可能であることがわかった. 3.宇宙ロボットの3つの制御問題を検討した.(1)宇宙ロボットが未知物体を把持した場合でも,適応制御を用いると良好な制御性能が得られた.(2)姿勢制御の可能性とそのメカニズムが明確になった.(3)提案した実時間軌道計画法が有効であることを確認した. 4.ディジタル制御で問題となる,非最小位相特性及び非線形要素の影響が顕著に現れる水中ロボットに対して,まず,非最小位相系に対する適応制御系設計法を提案し,実験により良好な制御性能を得られることを確認した.次に,離散時間線形数式モデルを提案し,適応制御シミュレーション及び実験結果により,有用性を確認した.
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