研究概要 |
平成7年度においては,次に示すような実験を行い結果および知見を得た. (1)マイクロマニピュレータ粗動部の電動化:小型で低振動の電動XYZステージを顕微鏡に取り付け,今まで油圧マイクロマニピュレータを用いて手動で行っていた作業を,粗動部はジョイステック操作によるモータ駆動化した.その粗動部に圧電インパクトマイクロマニピュレータを取り付け微動部とした. (2)微細器具位置合わせの自動化:マイクロマニピュレーションを行う際の細胞の検索及び位置決めや細胞操作用微細器具同士の位置合わせは,顕微鏡の視野においてその焦点の合い具合で判断している.しかし,この作業は顕微鏡の倍率が狭くなるほど視野が狭くなり困難な作業となっていた. 今回,顕微鏡からの画像情報を元に画像処理装置で細胞の位置を判定し,上記(1)で開発した電動XYZステージに画像位置合わせ装置を組み込み,細胞及び微細機器の位置合わせの自動システムを開発した.現時点では1作業に手動より時間を要するが,今後,ソフトや作業導線の見直しにより時間の短縮をはかる予定である。 (3)精密マイクロインジェクタの開発:マイクロマニピュレーションの自動化にはインジェクタの自動化が必要となる.そこで,全自動マイクロマニピュレータの開発にあたって油圧インジェクタでは自動化が困難であるため,電気的制御が可能な圧電インジェクタを試作した.圧電マイクロマニピュレータと同じ『圧電素子の急速変形を利用した微小移動機構』を組み込んだ圧電インジェクタは簡単な機構ながら正確な吐出を可能にするが,粘性の高い液体では吐出が困難な場合があるため,今後一部改善が必要で有ることを確認した. 7年度の研究を振り返ってみて,マイクロマニピュレータの粗動の電動化,微細器具の位置あわせの自動化を行うことができ,所期の目的が成し遂げられたと評価できる. (4)精密工学会誌に投稿するための論文執筆中
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