本研究では、電力系統に導入されたパワーエレクトロニクス応用システムの動特性シミュレーションにおいて、交直交換器におけるサイリスタ・バルブの速い動特性と、発電機・ネットワーク側におけるゆっくりした電気・機械動特性を、効率的に数値解析するために、時間刻みを交直交換器側の高速モデルでは短く、発電機ネットワーク側の低速モデルでは長く設定する2時間軸並列シミュレーション手法を開発し、その実用可能性について研究を行った。得られた成果をまとめると次のとおりである。 (1)SMESを含む多機系統の動特性解析アルゴリズムに2時間軸並列シミュレーション手法を適用し、系統側の低速モデルとSMES側の高速モデルの境界におけるデータ処理法とシミュレーション精度との関連性を明らかにした。 (2)2時間軸並列シミュレーション手法の高速化を実現するために、トランスピュータ・ネットワークで構成した並列計算システムを開発した。 (3)東北電力株式会社のSMES実証試験モデルについて、2時間軸並列シミュレーション手法を適用し、シミュレーションの精度、実用可能性を明らかにした。 SMESの有効/無効電力制御について、変換器の非線形な出力特性、時間応答特性を考慮する場合のシミュレーション精度について、SMESの簡易モデルによる従来のシミュレーションと2時間軸並列シミュレーションの差違を明らかにした。
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