本研究は、燃料調達や、事故といった不確実性下においても、停電なく電力を安定に供給してほしいという社会のニーズに応じるため、(1)多目的電力設備計画問題の解の柔軟性の効率良い評価手法の確立と、(2)ランダムなシナリオの効率良い創生手法の確確立びに、(3)事故時の運用を考慮した配電系統計画手法の確立を目的としている。平成7年度の研究において、以下のような研究成果並びに知見を得た。 (1)平成6年度に開発した多数の評価項目に対する(非劣)解の逆射影を用いた柔軟性評価アルゴリズムの検証プログラムを作成し、手法の検証を行った。また、柔軟性を考慮した発電機補修計画手法を開発し、その検証を行った。 (2)前年度までに柔軟性評価のための遺伝アルゴリズムとカオスを用いた評価シナリオ生成手法を開発してきているが、本年度は、シナリオ作成にカオスを用いることの妥当性について検証した。すなわち、設備計画に係わる外生条件の変化率がカオス的な変動をしていないかの検証を行ったが、極めてカオスに近い振る舞いはあるもののカオスであると断定するには至らなかった。 (3)事故時の運用も考慮した柔軟な配電計画手法についてアルゴリズムを開発し、その検証を終えた。 以上の研究成果について、(1)、(2)は、電気学会電力・エネルギー部門大会、電気学会電力技術研究会、電気学会茨城支所研究会発表会等でその途中経過を発表し、一部の研究成果を電気学会論文誌並びにIEEEへ投稿した。また、(3)については、日本オペレーションズ・リサーチ学会等においてその途中経過を報告してきており、現在、最終成果をまとめてIEEEへ投稿中である。
|