送電線や変電所機器の自然災害保護を対象に、現有設備の気象衛星(ひまわり、GMS-5)画像受信システムを用いて、1時間毎の赤外および可視画像を受信する。これらの気象画像を電力気象の観点から詳細に検討するために主要設備のパーソナルコンピュータおよびカラープリンタなどを組み合わせた気象衛星画像処理システムを構築した。 雷や台風など電力システムに関係の深い気象の工学的把握を対象としている研究代表者及び研究分担者にとって、豪雨や台風は重要な研究課題である。異常渇水となった平成6年の気圧配置と台風経路を比較した。その結果、高気圧と低気圧の強弱とその範囲は、それぞれの年度、季節に応じて台風の誘導・反発と経路変更に強い影響を及ぼすことが判明した。梅雨期集中豪雨を気象画像によって検討する手法を確立できた。また、日本に上陸した台風進路の転向点と緯度交差角を調査し、今後の上陸予想の指針を得る可能性を見いだした。 さらに、雷害防止技術の確立のための変電所侵入雷電流・電圧波形の解析などの雷パラメータの解明に関する研究を実施した。2回線送電線路への電撃によってどの相が最も地絡し易いか、5相以上の地絡故障で系統が全面停止とならないかなどは関係者の重要関心事である。特に66/77kV送電系統での夏季雷撃地絡故障はの相対的発生頻度が高く早期の解明が望まれている。77kV系線路を含む2変電所の実測結果に基づく12相雷サージ電圧波形について検討し、そのうち地絡故障となった15例について、逆フラッシオーバ直前の各相対地電圧瞬時値を対象に調査した結果、そのほとんどすべてが正極性領域内にあることを知った。さらにこれらの各相の相順と鉄塔の上の上、下配列を考慮に入れて、三相電圧波形上で故障時の電位位相を求めたところ、特に2相地絡の場合この傾向が顕著であることが判明した。さらに、山岳配電柱等への雷電流分布様相を検討し、その伝搬特性の把握に努めた。 冬季ロケット誘電実験に関しては、避雷器電圧波形および耐雷架空地線への雷電流波形を計測することができ、これらの波形について詳細に検討中である。簡易に放電光スペクトル分布を計測する方法を開発し、実際に平成7年度冬季ロケット誘電実験時に雷の分光スペクトルを記録することができた。
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