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超電導発電機は、従来機と比べて多くの利点を有するため、世界的に研究開発が進められている。最近では、交流に対して極めて低損失の超電導線材が開発されているため、電機子巻線も超電導発電機が注目されてきている。
本研究では、全超電導発電機用の電機子巻線を対象として、交流損失の評価のための電気的計測法を主に検討している。本年度(H7年度)の研究の概要は以下の通りである。
(1)交流損失の評価実験:本年度は、超電導電機子コイルを模擬した、常電導の空心電機子コイルを新たに設計・製作した。前年度は、コイルのR分(損失分)を抽出するため、90度移相回路とオペアンプ回路からなる位相計測回路の設計・製作を行った。本年度は更に、乗算器とロ-パスフィルターからなる別方式の位相計測回路を提案し、その回路の設計・製作を行った。これら模擬用空心電機子コイルと位相計測回路を前年度に構築した実験系(冷却系と計測系を含む)に組み入れた。昨年同様、コイルを液体窒素で冷却してR分抽出のための位相計測の実験を行った。
また、前年度に引き続き、実験と並行して全超電導発電機用の電機子巻線の交流損失に関する理論的な検討も進めた。その結果として、以下の成果を得た。
(2)電機子巻線の交流損失の理論的検討:我々の概念設計した1GVA級全超電導発電機を対象にして、定常運転時における電機子巻線の交流損失の理論的検討を進めた。本年度は、全超電流発電機の設計パラメータによる影響を検討した。その結果、電機子電流密度を増加すると交流損失は減少することが計算結果でも確認された。また、電機子巻線と界磁巻線間のギャップ長並びに電機子巻線と磁気シールド間のギャップ長の影響を調べたが、交流損失に対してこれらの影響は比較的小さいことが判明した。
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