高分子絶縁材料であるポリプロピレン、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、1軸延伸フイルム)を試料として用い、これらを溶融し冷却したときに生じる高次構造(球晶)と電気トリ-、水トリ-の関係を求めるために実験を行った。 その結果、ポリプロピレンの場合、電気トリ-は球晶内および球晶外の非晶質部分において発生し、非晶質部分を分岐しながら進展する状態について解明する事が出来た。ポリエチレンの場合、球晶を含む試料を作製する事が非常に困難なため多くの試料についての検討が不十分だった。球晶はほとんどが飽和状態のものが多く、トリ-に対する球晶の影響を特定するまでにはいたらなかった。しかしながら、試料の違いにより高次構造の成長状況およびトリ-の発生・進展状況が異なる事が明らかになった。7年度はポリエチレンについてさらに検討していきたい。 また、高次構造とトリ-の関係を示す2次元的な計測データから3次元計測結果を求めるための実験データ収集にとどまりシミュレーションも基本的な部分で終わっている。7年度はシミュレーションに必要なデータの整理を行い、さらに継続して実験を行っていきたい。 なお、6年度に行った研究の成果については、ICPADM94(2編)、ICMR94(1編)、電気関係学会東北支部連合大会(1編)において発表し、平成7年電気学会全国大会(3編)において発表する予定である。
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