低密度ポリエチレンを試料として用い、加工のため溶融し徐冷中に生じる球晶と水トリ-の関係について実験を行った。その結果、従来、水トリ-は発生後チャネル状に進展し、その形状は放射状であったが、本実験ではそれとは異なる電界方向に直線状に進むものが存在する事が分かった。この点については、なぜそのような現象になるのか、その要因となるものについてさらに研究していく必要がある。また、ポリプロピレンを試料として用いトリ-発生に及ぼす球晶および球晶分布の影響についても実験を行った。その結果、トリ-発生は結晶化度、結晶構造および球晶の分布状態に大きく影響を受けている事が明らかになった。トリ-発生電圧は結晶化度が高い試料ほど高い。また球晶分布が疎らな試料のトリ-発生電圧は、球晶分布が密な試料のものより高い。また、針先端が結晶構造のγ変態、α変態、擬六方晶にある場合のトリ-発生電圧の関係はγ変態>α変態>擬六方晶となることが分かった。さらに、球晶中のトリ-進展状況をシミュレーションし、画像でその様子を視覚化する事に成功した。しかしながら、表示方法は2次元的であり、3次元的なシミュレーション表示についてはさらに検討する必要がある。 なお、平成7年度に行った研究の成果については、平成7年度電気学会全国大会(3編)、ISEIM95(1編)、電気学会・放電および誘電・絶縁材料合同研究会(2編)および秋田工業高等専門学校研究紀要(1編)において発表した。また電気学会論文誌4月号に掲載予定である。
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